クリエイターは今まで数多くのデザイン、創造物を生み出し、それを評価し、膨大な知識と経験の積み重ねをネットにあふれさせて来ました。それを見極め、選択していくことでクライアントの求めるクリエイティブに早くたどり着くことが出来ると思います。
なお、この記事で解説する内容な主に受託のクリエイターを対象としていますが、社内や自身で独自のクリエイティブを生み出そうとしている人にも一部役立つものと思っています。
それでは、全く斬新なモノは生み出せないのでは?
残念ですが、現代において全く斬新なモノを生み出せる可能性は非常に低く、そしてすでにあるモノをミックスして新しいハイブリッドなモノを生み出すのが主流です。これはアイディアにおいてもそう言えると思います。
クリエイターはバランスをとってなんぼ
デザインをはじめとし、クリエイティブな作業のほとんどはバランスを図ることです。色や形のバランス、古いものと新しいもののバランス、どう感じるかのバランス、クライアントの求めるものと、その先の人が見るもののバランス。バランスの良いところに着地させる能力は重要です。
しかし、アンバランスというバランスもあります。これはバランスの中にあるからこそ活かせる技術です。これを活かせるようになればクリエイターとしても個性がでてきて一つ頭抜き出せそうです。
故、アンバランスを取るには、まず基本のバランスをとることをしっかりと行うべきでなのです。
つくり始める前に
クリエイティブはお客様のためでもあり、多くの人のためにも作られます。このことはしっかり認識しなければなりません。クリエイティブに独りよがりはありません。
何かをつくり始める前に確認するべきこと。
確認すべき事には2つの種類があります。
①形式的な確認(フォーマッティブ)
サイズ、色、媒体による規定、業種による特殊な規定、ターゲット、仕様、ファイルフォーマットなどなどのことです。ここでの知識はプロなら多ければ多いほど良いでしょう。
こちらの想像力に関係なく、形式的に決まっていることが多くあるのものです。発注するクライアントも知り得ない情報も多いと思います。
また現代では、様々なメディアにデザインやコンテンツを展開していくことが考えられます。それらも含めてここで確認してしまえばより良いでしょう。デジタルとITがもたらした超多フォーマット時代に生きるクリエイターとして、ここは重要なポイントです。
例えば、雑誌広告を作ってくれと言われ て、その雑誌より大きな紙のサイズのデザインは意味がないでしょう。また、モノクロのページにカラーのデザインも全く意味がありません。Webであればサーバの仕様などでしょう。クライアントのサーバで使えないデータベースやソフトを使っても無駄ですし、そもそもスマホのことを考えずに巨大な画面やインターフェイスデザインも無駄であることは明らかです。
ただ、これらの情報をクライアントが把握していることが少ないのも現実です。こちらから積極的に確認し、経験からこう言うフォーマットではありませんか?と言うのもスムーズです。
②創造的な確認(クリエイティブ)
お客様の思い描いているものはなんなのか?→サンプルを見てもらってそのなかから近いものを抽出してもらう→用途と最終目標を明確にする。
クライアントの好みのバイアスが強すぎて一般的に優良なデザインから外れていないか?→プロの視点や一般的に多くの人が優秀であると評されるクリエイティブと見比べる。→時にはユーザー層の是正も必要かもしれません。
前例があれば、それに対しての意見を聞いてみる。なぜ変えたいのか?など。お客様の要望よりも「良いアウトプット」ができるよう努力すべきであります。
まったく前例がない場合はちょっと注意が必要です。クライアントが目指している、または希望しているクリエイティブとは何か?ということを汲み取らなければならないからです。
これに関しては手を動かす前にさらなるヒアリングが必要です。クリエイティブごとにヒアリングシートを作っておくのも良いでしょう。
最終目的からデザインを導く
これが常に出来ればクリエイターとしてはワンランク上になります。
お客様はドリルが欲しいのではない、壁に穴をあけたいのだ。
T・レビット博士
これをクリアするにはサンプルを見せたり、好みを聞いたり、セッションを充分にすることで、より具体的なイメージの共有ができるはずです。これが実際には非常にめんどくさいのですが、頑張りどころです。
いつも一緒にやっているクライアントであれば別ですが、「お客さまが作りたいものと、自分がつくりたいものは、たいがい乖離している。」と思っておいた方が良いです。
とりあえず作ってみて
クライアントは「見てみないとわからないよ、とりあえず作って見せてよ」と言われます。これは当たり前です。我々はクリエイターなので頭の中で描いたものをカタチに出来る能力は、他の職業の方より長けているはずです。お客様はそこをプロに頼んでお金を払うのですから、実際に見ないとわからないと言い出すのはすごく自然です。
ただ、ここで「はいそうですか」と言って早速制作にはいってしまうのは、少々稚拙です。そこにもクリエイティブな能力を発揮しましょう。
世の中には優秀なサンプルが山のようにころがっていて、それらの情報を収集をするのにはインターネットのパワーでさほど手間がかからない状況です。
クライアントから聞いた断片的な情報をまとめて、「求めているのはこういうものですか?」というのを優秀なサンプルからある程度選んでもらうとよいでしょう。
山のようにあるデザインから良いデザイン、クライアントの求めるデザインを見つける能力は重要です。
それにはやはり「センス」を磨く必要があるのです。センスは生まれ持った天才の才能ではなく、磨けるものです。